沖縄の伝統的な織物12種類!ミンサーや芭蕉布、花織など
ミンサーや花織、沖縄はきれいな織物がいっぱい!
南国の自然と人々の思いに育てられた、沖縄の織物。
優美な花織は王族や役人の衣装に、
涼しげな織物は夏の衣服として用いられてきました。
多彩な織物はお土産やクラフト体験、ギフトでも人気です。
織物のメッカ!沖縄
沖縄の織物、いくつあるかご存知ですか?
沖縄には伝統的工芸品が全部で15品目あります。そのうち12品目を占めるのが、なんと織物。地域によってそれぞれ技法・特色が異なり、諸外国との交易品や琉球王府への献納品として発展をとげてきました。
今回は、沖縄にどんな織物があるのかをご紹介しましょう!
魅力がいっぱい!沖縄の織物12種類
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宮古上布(みやこじょうふ)
宮古上布は、沖縄県宮古島でつくられる織物。
苧麻(ちょま)という麻の繊維で作った糸を織ります。細い糸で織られた宮古上布は精緻な絣模様とロウを引いたような滑らかな光沢が魅力。一反が250グラム程と軽く、通気性も抜群。「東の越後、西の宮古」とも言われ、藍染の麻織物の最高級品として1978年より重要無形文化財に指定されています。 -
久米島紬(くめじまつむぎ)
久米島紬は沖縄県久米島町でつくられる織物。
素朴でしなやかな風合いが魅力で、紬糸(つむぎいと)か引き糸をのいずれかを使用します。「草木染め」や「泥染め」で染められた久米島紬は、洗うたびに染料のアクが抜け、色がさらに冴えていくのだそう。図案の選定、染色の原料の採取、糸の染め付け、製織のすべての工程を1人の織子(おりこ)の手で行います。2004年に重要無形文化財に指定。 -
八重山ミンサー(やえやまみんさー)
八重山ミンサーは沖縄県の石垣市、八重山郡竹富町でつくられる織物。
ミンサーは「綿(ミン)」・「狭い(サー)」が語源で、細い帯のことを意味します。八重山ミンサーでは、5つの四角と4つの四角を構成した絣模様が特徴。「いつ(五)の世(四)までも仲睦まじくいられますように」という思いを込めて女性が織り、愛する男性に贈ったものです。
石垣島では道路や家屋にこの模様が見られることも! -
喜如嘉の芭蕉布(きじょかのばしょうふ)
喜如嘉の芭蕉布は沖縄県北部の大宜味村(おおぎみそん)喜如嘉でつくられる織物。
芭蕉という大きな植物から繊維を取り出して織物にします。風通しのよいサラリとした生地は沖縄全域で古くから着物の生地として親しまれてきました。
芭蕉の栽培から採取まで3年、糸に加工し一反の芭蕉布を織るまで3ヶ月を要し、必要な芭蕉の木は60本。そのすべてを手作業で行う喜如嘉の芭蕉布は、幻の織物とも呼ばれます。 -
琉球絣(りゅうきゅうかすり)
琉球絣は沖縄県那覇市や島尻郡八重瀬町、島尻郡南風原町でおもにつくられる織物です。
日本の絣の発祥とも言われる琉球絣。およそ600種にものぼる沖縄の自然や動物、生活をモチーフとした多彩な図案が特徴です。爽やかで美しい独特の幾何学模様の図柄は、琉球王府時代から伝わる御絵図帳の図柄を元に、時代の感覚を取り入れて進化していきました。
主に絹糸を使用し、草木を原料とした染料のほか化学染料等が使われています。 -
首里織(しゅりおり)
首里織は沖縄県那覇市、中頭郡西原町、島尻郡南風原町でおもにつくられる織物です。
絣織物と紋織物があり、花織(はなおり)、花倉織(はなくらおり)、道屯織(どうとんおり)、絣(かすり)、ミンサーなどがあります。なかでも花倉織と道屯織は格式が高く、王族や貴族専用の織物でした。原材料には、絹や木綿、麻、芭蕉などの糸を使用。琉球藍、フクギ、シブキ、テカチ、グールなどで染めます。 -
八重山上布(やえやまじょうふ)
八重山上布は沖縄県石垣市、八重山郡竹富町で主につくられる織物。
原料は苧麻(ちょま)、染料にはヤマイモ科の紅露(クール)、フクギなどを使います。茶色に浮かび上がった細やかで美しい模様が魅力。風通し良く着心地のさわやかな八重山上布は、夏用の着物に用いられました。17世紀以降、宮古島や八重山で織られた上布は琉球王府から薩摩へと貢納され、「薩摩上布」として全国に広まりました。 -
読谷山花織(よみたんざんはなおり)
読谷山花織は沖縄県中頭郡読谷村でつくられる織物です。
先染めした糸で花のような幾何学模様の紋様を織り込む「花織」。伝統的な読谷山花織では琉球藍で染めた紺地に赤や黄、白色などで花模様があしらわれ、裕福や子孫繁栄、長寿への願いが込められています。大変手間のかかる貴重な織物であるため、琉球王朝時代には王族以外と読谷村の住人以外は着用を許されませんでした。 -
知花花織(ちばなはなおり)
知花花織は沖縄県沖縄市知花でつくられる織物です。
紺地に連続した花のような幾何学模様が織り込まれていることが特徴。縦に連続して模様が浮く「経浮花織(たてうきはなおり)」と、刺繍のように糸が浮く「縫取花織(ぬいとりはなおり)」の2つの技法があります。お祭りや行事、晴れの舞台に着るものとして愛用されてきました。素材は木綿が主ですが、絹や羊毛を用いることも。 -
南風原花織(はえばるはなおり)
南風原花織は沖縄県島尻郡南風原町を中心につくられる織物です。
まるで刺繍のような、立体感のある美しい幾何学模様が特徴の南風原花織。琉球王朝時代の祝い着として発展しました。タッチリー、チップガサー、ヤシラミ花織、クワンクワン織りなど、南風原花織にしかない独特な模様や名称もあります。琉球藍やフクギといった沖縄の植物を染料に用います。 -
与那国織(よなぐにおり)
与那国織は平織の民族衣装「ドゥタティ」、それに合わせる細帯「ガガンヌブー」、紋織物の「花織」、同じく紋織物の「シダティ」の4種類の総称。沖縄県八重山郡与那国町でつくられる織物です。
日本最西端の島で織られる与那国織は、独特の風土と手仕事によって培われた素朴な美しさが特徴。子縞柄と小さな花模様がならぶ直線的な幾何学模様が代表的な模様です。 -
読谷山ミンサー(よみたんざんみんさー)
読谷山ミンサーは沖縄県中頭郡読谷村周辺でつくられる織物です。
「ミンサー」でも地域によって技法や模様が異なり、読谷山ミンサーは竹ぐしで浮かしたい模様の部分の経糸(たていと)を拾いながら紋を作るグーシバナ技法が特徴。立体的な幾何学模様を表すところから「グーシー花織」とも呼ばれます。南国らしい鮮やかな色使いが人気。
沖縄の織物は現代のくらしにも
現代でも着物や帯に用いられている沖縄の織物。
古くから伝えられてきた織物の着心地を体感するなら、やはり着物がおすすめ!しかし、最近はもっと気軽に暮らしに取り入れやすいアイテムも数多く作られています。
沖縄の織物を用いたバッグやネクタイ、ストール、ポーチ、ランチョンマットなどは沖縄観光のお土産でも人気。コースター作りのような手づくり体験も旅の思い出にぴったりです。
染物や織物など、布に携わる人にとって沖縄はまさに聖地!
脈々と受け継がれてきた技と人々の息づかいを、ぜひ織物から感じてみてください。