沖縄の金細工とは?美しい伝統の房指輪やジーファーなど

美しい伝統の房指輪やジーファー 金細工(くがにぜーく)

お守りのように身につけたい、沖縄伝統の金細工

沖縄を訪れたら、沖縄ならではのアクセサリーも気になるところ。
伝統的な金細工を、みなさんはご存知でしょうか?
華やかな琉球王朝の歴史を感じさせる、美しい金細工をご紹介しましょう。


沖縄の金細工とは?

金細工は「くがにぜーく」、もしくは「かんぜーく」と読みます。
琉球王朝時代に開花した金細工は沖縄の伝統的なアクセサリー。純銀を打ち叩いて手作りされる美しいジュエリーは、今もなお県内外の人々から愛されています。

500年前から続く、奇跡の工芸

沖縄の金細工の始まりは、さかのぼること500年。
1509年の琉球王朝時代に首里王府の命を受けた職人が現在の中国に渡り、金細工の技術を習得したことによります。職人は琉球王府御用達職人として「筑登之親雲上(ちくどぅんぺーちん)」の位を授かり、多くの金細工職人が守礼門近くで工房を構えました。金細工の「金」とは金物のことを指し、職人は鉄以外の金物細工すべてを制作していたのだそうです。

歴史ある金細工ですが、その後廃藩置県や太平洋戦争などにより、金細工の技術や道具の多くが失われるところとなります。しかし金細工職人のたゆまぬ追究により復活をとげ、いまも数少ない職人さんによって伝統的な金細工の技術と道具が守り続けられています。

どんな金細工があるの?

沖縄の金細工にはおもに「房指輪」「ジーファー」「結び指輪」があります。琉球舞踊の装飾品にも使われる「房指輪」が特に有名ですね。歌手・安室奈美恵さんが沖縄県の県民栄誉賞を受賞した際、表彰状といっしょに「金細工またよし」の房指輪とジーファーが贈られました。

沖縄の金細工

  1. 房指輪(ふさゆびわ)

    房指輪は7つのモチーフに彩られた銀の指輪。
    婚礼の際に「娘が一生、来世も守られ、幸せでありますように」と願いをこめ、親から娘へと贈られてきたものです。モチーフはそれぞれに縁起の良い意味が込められています。

    七房のモチーフの意味

    • ・扇 末広がりに栄えますように
    • ・花 花のように華やかに暮らせますように
    • ・魚 食べものに困りませんように
    • ・葉 着るものに恵まれますように
    • ・ざくろ/灯明 家族愛と先祖崇拝 歩む道が明るく照らされますように
    • ・桃 不老長寿 健康で長生きできますように
    • ・蝶 天国の死者 来世も幸せでありますように
  2. ジーファー

    ジーファーとは、琉球伝統のかんざしのこと。
    かつて沖縄では、身分の違いによって使うかんざしの素材が異なりました。王族は金、士族は銀、平民・農民はしんちゅう・木・べっ甲など。現代の金細工では銀を素材としたジーファーが作られています。

    女性の立ち姿を表していると言われるジーファー。女性の分身として、肌身離さず身に付けたといいます。銀を丹念に打ち叩いて作るジーファーからは、繊細な曲線の美しさ、銀のやさしい輝きを感じていただけることでしょう。

  3. 結び指輪

    結び指輪は、2本の銀線を熱して結わえて作る指輪です。
    かつて沖縄の遊女たちが「愛する人と末長く結ばれるように」と願いをこめて身につけていたのだそう。
    指輪の結び目は男女の出会いや絆を表し、「心を結ぶ」「縁を結ぶ」「運を結ぶ」縁起物として沖縄の人々に愛されてきました。今では房指輪と同じくらいに人気があります。

金細工を作る工房とは?

沖縄の伝統ある金細工を支えるのは工房「金細工またよし」。金細工職人7代目の又吉健次郎さんの工房です。
初代は16世紀に琉球王府の命を受けて現在の中国に留学。金細工の技術を習得し、「唐行き又吉・トーチまたよし」と呼ばれていたという記録が残っています。

琉球王国の解体や戦争で途絶えようとしていた金細工。しかし、民藝運動の陶芸家・濱田庄司が6代目又吉誠睦さんに古い房指輪を渡したことをきっかけに、伝統的な金細工の復元が始まりました。そうして息を吹き返した金細工の技術と道具は7代目健次郎さんに受け継がれ、さらに次の世代の職人さんにも伝えられています。

沖縄の金細工はギフトにも人気

沖縄の伝統工芸、金細工のアクセサリーは大切な人へのプレゼントにも人気です。房指輪はかつて親から娘へと贈られるものでしたが、現代ではエンゲージリングとして買われる方もいらっしゃるのだそう。誕生日のプレゼントにしても素敵ですね。

縁起の良い金細工は、幸せを願う心が伝わるアクセサリー。沖縄観光のワンランク上のお土産や記念品として、とっておきを探してみるのもオススメです!