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2015年8月18日
伝統工芸品や日本の良いものを紹介する良質なテレビ番組が増えていますね。
実は日本デザインストアでご紹介をさせて頂いてる伝統工芸品をはじめとする「日本のいいもの」も、気づかないうちにテレビ番組で放映されている事が多く、スタッフから「昨日テレビ番組に出ていましたよ〜」と言われ慌てて再放送を探す…といったこともよく起こります。
伝統工芸品や「日本のいいもの」をよくご紹介頂く番組としては、
などが多いです。
番組では私たちスタッフも知らなかった工房の歴史などがご紹介されている事が多く、大変楽しく学ばせて頂いております。
さてそこで本日は以前、NHK「鑑賞マニュアル 美の壺」の「ガラスの器」の回で放映された、廣田硝子(ひろたガラス)の「大正浪漫硝子(たいしょうロマンガラス)」についてご紹介をしたいと思います。
硝子が日本で盛んに作られるようになったのは明治以降。
近代的なガラスの製造技術が西洋から入って来ると同時に、当時の職人達はこぞって腕を磨いたと言われています。
当時よく用いられていた文様は、十草、青海波など日本の伝統的な文様。
西洋の技術を活かしながらも和のテイストを取り入れた「和モダン」な作品が次々と登場したそうです。
いつの時代も海外から入って来た技術を日本式にアレンジする、そんな先人の豊かな知恵や感性が感じられますね。
廣田硝子(ひろたガラス)の「大正浪漫硝子」は、そんな大正時代に作られてたガラスの食器を復刻したもの。
乳白色のフンワリとした文様は、大正時代に導入された「あぶり出し技法」と呼ばれる技術を用いて作られています。
「あぶりだし技法」とは、硝子を作る際の温度差により、文様を浮かび上がらせる技法。ガラスの原料に「骨灰(こっぱい)」と呼ばれる牛の骨の粉を混ぜ、その混ぜたガラスの「急激に熱すると乳白色になる」という特性を用いて模様を浮かび上がらせています。
「あぶり出し技法」で乳白色の模様を作るには、まず溶けたガラスを凹凸のついた型にいれ、空気を吹き込みます。
型の中でガラスをふくらませると凹凸ができ、温度差が生まれます。
再びそのガラスを熱すると、ガラスの凹んだ部分の温度だけが急激に上昇し、凹んだ部分が模様となって乳白色に浮かび上がるのです。
「あぶりだし技法」も、もともとはガラス技術と同時に西洋から伝わった技術。
ヨーロッパの「あぶりだし技法」のガラスは表面がでこぼこしていますが、それに対し廣田硝子の「大正浪漫硝子」は表面がつるんと滑らか。
これは再び熱した型にいれ、空気を吹き込むためなんですね。
このようにひと手間をかける事により、ぼんやりとガラスに溶け合うような「ぼかし」の文様が生まれます。
「美の壺」に登場された竹久夢二伊香保記念館館長の木暮享さんは、
「これこそ日本の色、大正の落ち着いた色を出す日本の感性。あからさまに見せないところが想像をさせる。」
「毎日日常、朝から晩まで自然から受け取るかたち、そこにデザインを生み出す日本人の優れた感性。生活の中に自然を取り入れ生活を楽しんだ日本人は、それをガラスのなかにも取り込んだのです」
と説明をされていました。
古き良き日本で作られてきたガラスの器には、当時の日本人の瑞々しい感性や豊かな発想がとけ込んでいるのですね。
□本日ご紹介した商品はこちら
・手のひらにすっぽり納まるグラス・タンブラー:江戸切子 花蕾[Karai]。その姿は宝石のよう
・ガラスの蕎麦猪口:大正浪漫硝子 透明感がおしゃれな蕎麦ちょこ
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