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古来より「少しのもので豊かに生きる」知恵を持っている日本人。モノの本質をシンプルに表現することを好むという価値観は、日本特有の「禅」や「侘び寂び」といった宗教観や世界観にも凝縮されています。
装飾や加える事に豊かさを見いだした西洋の「足し算の文化」とは異なり、日本は重要な事にフォーカスしてモノゴトを極限まで削ぎ落とす「引き算の文化」。
ものづくりにおいては、シンプルである事には「美しく・分かりやすく・伝わりやすく・壊れにくい」と言われています。
そしてこの「ミニマリズム(最小限主義)」のものづくりを体現している逸品が当店にもありまして…
本日はその「最小限のものが最大限を生み出す」というコンセプトの器をご紹介したいと思います。
お椀/TSUMUGI つむぎ 一汁三菜椀 プレーン/我戸幹男商店
こちらの写真に写っている5つの漆器は我戸幹男商店(がとみきおしょうてん)の一汁三菜椀TSUMUGI(つむぎ)。実はコンパクトに1つに納める事ができるのです。
日本各地に数多くのお椀や食器が売られていますが、「日本人のミニマリズムの考え方は知っていたけれど使う食器を一つにまとめてしまうとは!」
と、手に取られた外国人の方もみなさん驚かれるそうです。(もちろん日本人でも驚くのでは…と思います。)
お椀/TSUMUGI つむぎ 一汁三菜椀 ブラック/我戸幹男商店
一見見ると1つの蓋つきの木製のお椀。
しかしこの中にさらに4つの器が入っており、それで一汁三菜椀になるとは…きっと誰も思わないでしょう。
入れ子式の構造はロシアの木製人形”マトリョーシカ”のよう!と思うかもしれませんが、どちらかと言うと禅宗の修行僧が使用する食器”応量器(おうりょうき)”に考え方が似ていると店長は思っています。
お椀/TSUMUGI つむぎ 一汁三菜椀 レッド/我戸幹男商店
こんな小さな汁碗の中に、飯椀、小皿など4つの器を収納できる秘密は「山中漆器(やまなかしっき)」の職人による薄挽きの技術によるもの。
轆轤(ろくろ)によって極限まで薄く挽かれた木地は口の当たる淵部分は薄いですが、中心部に近づくにつれて厚みを増しているため安定した作りになっています。
最初の方で少しご紹介を致しましたが、シンプルなデザインとは「美しく・分かりやすく・伝わりやすく・壊れにくい」もの。
この一汁三菜椀もこれ以上無い程のシンプルさであるため、飽きる事なく長く、そして日本人ならではのモノゴトの考え方に思いを馳せながら使う事が出来るのでしょう。
極めて誠実で美しく、でもちょっとユニークなこの器。
潔くシンプルに生きる事に思いを巡らせ、思わず背筋をしゃんとしたくなる不思議な食器です。
我戸幹男商店の技術についての詳細は「我戸幹男商店特集」をごらん下さい。
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